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ゾンビシティ

社会に放り出されて3週間も経つと
色々と自分の中のものが腐っていく
感覚を感じるようになる。
それは、他の方も例外ではなく
近頃は皆、めんどくせぇー、つらい、やめたい
しか喋らない歩く屍と化している。

そんな屍たちと、朝、ゾンビのようにあーあー
駅まで歩いていくと、既に電車には
たくさんの屍がところ狭しと詰まり
あーあー言っている。

初めの頃こそ、その腐臭に物怖じしたが、
近頃は何の感情もなく乗り込み
あーあー言いながら揺られる。
あーあー言ってるとドアが開き、
これまた大量の屍たちがあーあー言いながら
乗り込もうとしてくる。


いや、絶対乗れねーって!!


とか思ってても、何だかんだ入る。
もみくちゃにされながら、皆
目をつぶっていたり、つり革を眺めて
微動だにしなかったり、
右に流されたら右から押し返し
左ならばまた左から押し返され
あーあー言いながら駅まで運ばれ、
改札口へと降りていく。


駅のマクドナルドでは
ゾンビたちがコーヒーを買うために並んでいる。

店員の方は明らかに日本人ではないけど
「お客様」という発音だけはすごい綺麗。
のに、「コーヒー」は「コーフィー」つってる。
気になっても、特にどうでもいいことなので
ホットコーフィーを買って
しばらくあーあー言ってると8時になり、
座っていた屍たちが次々と席を立っていく。

席を立つと、瞬間
彼らは屍からビジネスマンへと変貌する。

もちろん、帰りには再び屍の姿で合間見え、
あーあー言いながら電車に揺られ
あーあー言いながらスーパーで買い物をし、
あーあー言いながら帰って行くのだけど、

朝、ゾンビたちがスイッチを入れる瞬間。
そのまま、背筋を伸ばし、急ぎ足で
オフィス街へと颯爽と歩いていく屍たちを
見ると、私は今日も頑張ろうと思えるのだ。