うちの資源ごみの日は木曜日です。

前回の続きです。
bukkiee.hatenablog.com


総員につぐ
直ちに本体大脳付近に集合せよ 。



その日、私の頭の中では
朝から重役達による会議が行われていた。


議題
【 いくべきか、いかざるべきか 】


「クリスマスでしょ?イルミネーションでしょ?
んで、二人でよ?いくべきでしょ」


「今を好機と言わねば、いつを言うのだ!」


「待て待て、問題視すべきは
彼女にその気があるのかだ。」


「こちらの資料によりますと、
イルミネーションを二人でいくのは
多少の好意がなければあり得ないそうです。」


「どこのデータだそれは?出典元を開示しろ!」


「飲みの席での後輩との会話からです。」


「そんなものは建前論だろう」


「公私混同するな。
先輩、後輩の関係を越えるべきではない。
仲のいい上下関係として続けるべきだ。
第一・・・・・」


「失敗の責任は誰が取るんだ?」


「そうだ!」「そうだ!」


会議は終始、保守派の優勢。
またとない展開に浮き足だってた自信とか、
勇気とか後半やさぐれてた。喋れてなかった。
私の頭の中は、保守派リスペクト。
何かある度にひっきりなしに召集されてた
保守派の陣営には、数々の闘いを経た
モラルとか、体裁とか遠慮とか
21年間の私の礎を築いた歴戦の勇者が
おもむろに座っている。

かたや、改革派。おめぇちゃんと飯食ってる?
みたいな顔色の奴ばかり。給食で掃除の時間になってもまだ食べてる子ばっか。明らかにダメそう。
あと、過疎化がすごい。欠席者多数。
チャレンジ精神とか、向上心とか札だけ立ってる。



「では、通常運航ということで」


「意義なし」




いや、もーね。こうなってきたら
とことんビジネスライクで行こうぜつって。
親戚の子供くらいの距離感掴もうぜつって。
頭の中でよぎる「ひょっとしたら」なんて願望は
バイト先の店長への文句とかと一緒に
心の奥にフライアウェイですよ。
店長?誰それ?知らない知らない。
怒られたっけー??みたいな記憶の海に
ドラム缶ごと沈めまして、
改札くぐってくる彼女を待ちました。


寒空の下、白い息をはきながら
改札を見つめる。


(きっと君は来ない~♪一人きりのクリスマス・イブ♪フンフンフ♪ )


違う違う、来るから!
来ないと困るから!


駅前の改札が一番見えやすい所には
白い息がもくもくと上がっている。
お、お兄さん達も待ち合わせ?
寒いっすねー


お兄さん
「居酒屋いかがっすかー!」



( キャッチかよ・・・・ )



キャッチにまみれながら待ってたら、
改札から彼女がくぐってくるのが見えた。


キャッチ
「お姉さん、居酒屋どうですかー!?」


後輩
「何してんですか?」


(よし、特別感はねーな。)


イルミネーションの場所までの徒歩10分。
私はなるべくデート感とかイチャイチャ感とかを
消すために喋りまくった。
ファイルにプリントを詰め込みすぎて
ファイルの重さがドラゴンボールみたいな設定になってる話とか、家の中でポイッて放った物が四次元のごとくこつぜんと消える話とか、

もう、頭の中にある引き出しを開けに開けた。
途中、なんか昔のアルバムとか出ちゃって
懐かしいーつってお茶とか飲んだりしながら
使えそうな道具は全部引っ張り出した。
この日の俺のMAXはここだ!つって。

したら、さくっと息切れしたよね。
イルミネーション着く前に。
俺の任務は終わった。つって。スネーク!つって。
まぁ、何のステルス性もなかったんで最後は
無言のまま力尽きたメタルギアと化したんですけど


それが、イルミネーション着いた瞬間復活した。


もうね、すげーの!
ロームのイルミネーションってのは
ローム株式会社が慈善事業でやってるっつー物なんだけど、完全にガチ勢。え、これ慈善?ってレベル
正面から見ると光のトンネルのような並木道なんて
本当生きててよかったレベルの感動だったし、
しかも、これを女の子と見れるって素敵やん。

もうこれを思い出に生きてこう。
これだけで恋ダンス踊りきろう。


そんなことを思いながら、イルミネーションの中で
メインとされてる所に着いた。
スクリーンのように、壁に張り巡らされた電球から
光による映像が流れる。
やけにロマンチックな音楽なんかも流れてる。
そんな雰囲気に惑わされたのか
頭の中では、天使なのか悪魔なのかが
youいっちゃいなよ。などという不快な
ジャーニー語を垂れ流してる。
私は負けない。いや、負けたくない。
これが終われば飲みに行く約束。
約束ごと破壊するような賭けには出ない。

いや、出れない。

チキン
「任務完了だ。スネーク、速やかに帰還せよ。」

保守派のここぞという時の力はすごい。
だからこそ、これまでの平穏な生活がある。


後輩
「写真撮りましょーよ!」

「いいよー」


(この子は結局どうだったんだろう・・・)


ふと気づくと、彼女は
僕に寄り添うような形になっていた。




天使
「youいっちゃいなよ」



改革派のここぞという時の力はすごい。
時に、今まで無かった決断をしてくれる。
だからこそ、今の私の生活があるのだ。


とりあえず、言おう。



言うぞー
言うぞー
言うぞー
言うぞー
言うぞー


言わなくてもいいかなぁ・・・


消耗した。
したと同時、私の頭の中では
それ行け!と言わんばかりに
着々と言い訳を探し始める。


いや、ほら、まだ二人で遊ぶの2回目とかだし、
ドラマだったら4週目とかで
ようやく関わり合い持てるようになった所だし、
寄り添ってるのも、単純な自撮り技術つーか
なんだったら慣性の法則みたいな所あるし、、、
そんなこと考えてるうちにタイミング逃したし、、


保守派軍勢
「行こっかー」


おい、何勝手に喋ってんだ!


メインとされてる所から折り返して
もう一度並木道に戻ってくる。


実況
「さぁ、状況が俄然厳しくなって参りました。
この並木道を抜けてしまうともうイルミネーションはあ・り・ま・せん。(川平 慈英的な)」


解説
「そうですね、ここでシチュエーション点を逃すと、思いきった技が入れれませんからね。正念場です。(フィギュアスケート的な)」


天使
「youいっちゃいなよ」


保守派軍勢
「いやー、本間綺麗やんなー」


私の操縦席には、
相変わらず保守派軍勢が座っていた。
このままでは確実にこいつ(自分)は帰る。
どうすれば・・・


改革派
ヤシマ作戦を決行する。」


ヤシマ作戦・・・別名 時間稼ぎ


突っ立ってみた。
正確に言うと、イルミネーションに
心を奪われてる風を装ってみた。
フランダースの犬のように、ルーベンスの絵に心奪われる少年がいるなら、イルミネーションの光に心奪われる青年がいたっていいはずだ。
ただし、ネロのような純朴な精神はない。
告るか告らないか、それしか考えてなかった。
したら、

パトラッシュ
「ネロ、もう疲れたよ。」


まさかのパトラッシュ側からのオファー。


そりゃそうだ。彼女はかれこれ
30分以上は歩いている。
しかも、歩いた後に立ち尽くすネロに
付き合ってくれてまでいる。化物か。私なら帰る。


パトラッシュ
「最後に上から見たいから、歩道橋上りましょ」


DEAD! と見せかけて ALIVE!!


改革派
「あの、はしゃいでるとこ悪いんだけど
告白のセリフまでは考えてないんだけど。」


【会議室】
「至急、資料を集めてくるんだ!!急げ!!」

「記憶の中からリストアップします!」


好きです。付き合ってください(教科書)

お前は俺が守る。(ジャンプ漫画)

ずっと側にいてくれ。(スクエニ風)

一生一緒にいてくれや(ライフタイムリスペクト風)

前前前世から君を探してたんだよ(君の名は風)


ろくなもんがねぇ。
もう一度言う。ろくなもんがない。



もうやめちゃおう。そうしよう。
なんだよ、告白って。湊かなえじゃねーっつーの。
大体、4月から社会人になって
どこ飛ばされるかも決まってないってのに
大学に残るこの子と付き合えたって。
大体歩道橋ってなんだよ。
イルミネーションより真下通る車が気になって仕方ないし。手とかすげー寒いし。欄干鉄だし。
ボロいし。もうイルミネーションとか見てねぇし。
もう普通に終わって普通に飲みに行って
普通に帰ろう。向こうもその方が・・・
あれ、そう言えば向こうは?


ふと、横を見ると、向こうもまた
橋の上から呆然と車を眺めていた。


・・・・・・・



「あのさ、よかったら付き合わない?」



・・・・




・・・・・






・・・・・・・







「はい」




トゥールトゥルトゥル
トゥールトゥルトゥル
トゥットゥットゥルー♪


星野 源 - 恋 【MUSIC VIDEO & 特典DVD予告編】


続きません。終わりです。



完全に余談ですが、帰り道に手繋いだだけで
股間がオフサイド取られました。