就活 : 無い内定の通り道

『メイが迷子になっちゃったの。
捜したけど見つからないの!
お願い。メイを捜して。
今頃、きっとどこかで泣いてるわ。』




メイ(やる気)のやつが見つからないので
最近は、部屋の窓から投げ捨てたハエが
めぐりめぐって僕の内定に繋がる。
的な糞みたいなバタフライエフェクト
を妄想したりして過ごしてる。

だからどうしたって言われたら
言い返す言葉もないし、
潔く退職金もらって辞任するんですけど
だからどうしたっつか時間どうした!?

20年振りに同窓会で会ったあの子
みたいな変わりぶりようなんですけど
少なくともあんな先走る子じゃなかった・・・
よくさー、楽しい時間は一瞬!みたいな
言葉あるじゃないですか
あれはね、納得出来るんですよ
あー、夢中になってると時間って早いよねーつって
でもね、こんなこと言うのもどうかと思いますけど
僕は模範囚みてーに部屋でじっとしてるんですよ

おーい、時間さーん
発注先間違えてますよー!僕じゃありませーん!
時空超越してんじゃね?っつーくらい
お前、タイムリープしてね?っつーくらい
昼の2時から6時をピンポイントで消える
ひょっとして、携帯が鳴らないのは
僕だけ時を越えてるからなんじゃない?




なんつー「時をかける少女ごっこ」とかもしてた。




メイが迷子になってから数日、
僕のライフラインだったカンタ(不安)
のやつまで時折姿を消すようになった。

やっぱね、6月はつらい。6月なめてた
6月に入るまでは、
落ちたかぁー、まぁまた探して受けるか!
つって祈られて凹んでてもまだ立ち直れた
とうもころしー!つって
メイちゃんだって笑顔で走り回ってた。

それが、6月に入ったら多くの人が
自分の進路を決めて、遊び回ってるわけですよ
んで、多くの人が進路を決めてるってことは
求人の内容が露骨に偏ってきたり、
今までアサシンのように隠れていた企業も
出現したりして、たまーに良いなって思うと
説明会は満席。ってな状況になるわけです


もうねー、自動的に選べる道は
ほとんどないわけですよ。
3月にはあれほど可能性に満ちていた
色んな道が今ではほとんど路地。
どうしたっつーくらい細い。
それと同時に『この先危険』って書かれた
ものすごい太い道が1つ。
行き先は・・言うまでもない


6月に入るまでは、
うちのメイちゃんだってね
少々祈られたってせいぜい
どんぐりぶつけられるくらいの
精神負荷だったのがね
今や、遊☆戯☆王のダイレクトアタック並
ジブリの世界なのに唐突の海馬
『滅びのバーストストリーム!!!』つって

あれって外から見てたらさ
たかがカードゲームで(笑)とか思うじゃん
でも、入院とかしちゃうわけ
城之内死す!!!とか言われちゃうわけ


メイちゃんが泣き出したので
恋愛のことだけ考えていこうぜ!つって
とりあえずaikoとか聴いてみる。
したら、aikoaiko
「疲れてるんならやめれば?」
とか言ってくる。
そうして僕の中にaiko(諦め)が出現し、
鳴らない携帯電話を見つめながら
合否に関わらずつった企業からの
不採用通知という名の爆弾が落ちるのを待っている
ギロチンにかけられたサツキの横で

ただ1つだけ ただ1つだけ

疲れてるんならやめれば?

つって歌い出した。



『お願い。トトロの所へ通して。
メイが迷子になっちゃったの。
もうじき暗くなるのに、
あの子どこかで道に迷ってるの。』


トトロは、ショッキングピンクのスーツを
身に纏っていた。
トトロというか限りなく
キャリアセンターのおばさんだったけど・・・

二度と来るか!つってた
トトロの森にまた来ることになろうとは・・・

bukkiee.hatenablog.com


僕の方はもう不信感しかないですから、
お互いニコニコしながら
向かい合うこと数秒間、
とりあえず、やりたいことがないよーつって
ふわっとした悩み事を相談してみた。

したら、もうすげーの!
これ取り調べだったっけ?っつーくらい
ゴリゴリ聞いてくる。
カツ丼出るまで粘れそうにないので
とりあえず色々話してみる。


・・・・・


トトロ
『あなたは、やりたいことは明確なの。
具体的じゃないだけ』

『これとこれとこれ、行きなさい。
あと、次は面接の相談で来なさい。』

『あと、大学の求人が・・・データベースで・・』





(こわい、こわい、こわい、こわい)



えぇー、すげー言ってくんじゃん・・・
そんな問題あった??駄目だった??
間違ってたとしても結構いい線いってた
っつーか、、、


トトロ
『一生懸命喋ってくれたけど
何が言いたいのか分かりにくい』


その発言と共に
どこからともなくカンタ(不安)のやつが現れて
おもむろに走り出し、いつものごとく何処からか
泣いてるメイ(やる気)を引っ張ってきた。

それを「入れば?」なんつって
ぶっきらぼうに入れてやる。
入るとすぐにカンタはaikoを外に蹴りだす。
aikoテトラポット登りながら消えていくのを
よしよし。なんつって見ながら
僕もギロチンを外して、死刑台を降りる
その間にカンタの指示でメイは僕の中を走り回り、
切れていた電源をつけて回る。
電源がつくと、好奇心とか楽観主義とかが
どこからともなく現れて、
忘却と一緒にギロチンを壊し始める。


動かないと駄目かな?
動かないと駄目だよね?
よし!動こう!



学内での説明会には
未だに100人くらいの羊たちが
行く宛を探してさ迷っていた。
「私、この1週間何もせんかったからな(笑)」
などと自虐している人はまだマシで
皆、それなりに精気を失った顔をしている
説明会は地下で行われるのでよりそう見える。
暗いところで人が集まり、説明を聞いてるのは
さながら秘密結社の会合のようだ


『皆、内定とか持ってるの??』


(持ってたら来てねーよ・・・)
たぶん全員がそう思っただろう。


→ コマンド : 満面の笑み


『な、何ですか?その笑顔は(笑)』


(察して下さいということです・・)




ささやかな抵抗をして家に帰り、
『いっけぇーーー!!!』つって
ベッドに飛び込んだけども
相変わらず6月だった。


今度は僕が言われる番であろう。


(あの学生、1回目かぁ)