外国が怖いって話。
外国っていいと思うんですよ。
イギリスのビッグベンしかり、
アメリカの自由の女神しかり。
景色はとっても洒落ていて
現地のご飯なんて
まじでほっぺた落ちるくらい美味しくって
外国の人はみんなフレンドリーで
和気あいあいで。
今まさに世界中がコロナコロナつって
騒いでるってのにね、
かたや外国では、ベランダ越しに
瓶ビール片手で乾杯ですよ。
金髪美人やヒゲデブ親父が
ルネッサ~ンスつって
やってるのをみて私は思うわけ。
「あ~、外国の人っていいなぁー。
みんな和気あいあいとしてフレンドリーで、
どんな時でも楽しそうで」
したら、心の奥底から聞こえる声。
「まさか忘れたのか?あの時のことを・・」
あ、あの時、、、、、、
私はあの時、大学2回生だった。
当時の私は、当初入ろうとした軽音サークルの
いかにもザ・大学生かつ俺たちサブカルで
周りから見るとイレギュラーなことしてるぜ☆
的な空気感に重度の酸欠を起こし、
酸素マスク片手にかろうじてたどり着いた
くそローカルな定食屋のアルバイトに
青春を捧げていた。
ある時は、ラップをかけたままの
エビフライを客に出し、
またある時は、壁掛け時計を私の頭から
店長の頭へとアシストをし、
客が剥がした店の内装を
アロンアルファでごまかした。
さらには、炊飯器をひっくり返して散乱した
米をゴミ箱に隠蔽するという
トリッキーな勤務スタイルを取っていた。
(店長、ごめん。。)
そんな私であったが、挨拶とお礼だけは
きちんと言うため、辛うじて
怒鳴られることもなく働いていた。
当時は、やることも友達も少なかったので、
週のほとんどは定食屋で過ごしたと思う。
そんな私を見て、息子の青春を心配したのか
母から短期留学の申し出があった。
定食屋に搾取され、
講義をサボって京都の河原町で遊び呆けてる
世の全ての大学生を呪いかけてた私は、
大学生のうちしか出来ないっつー
いかにもな口説き文句で留学を決意した。
行き先は複数の選択肢から選べたが、
ロサンゼルスという響きに憧れた私は
アメリカを選択した。
留学とは言え、大学のプログラム。
現地には同じ大学から来た日本人と
一緒に授業を受けたり、遊んだりする。
なんつーかな、この辺りからね
うっすら雲行きが怪しくなってきまして。
ってのも、私、同学年でもしばらく敬語を
続けるくらいの人見知りなんで。
職場で1年付き合えば分かってくるって
言われるくらいの閉じこもり具合なんで私。
入社半年間、あだ名「鼻」ですよ。
もうね、あだ名がシンプル。
あだ名がってかもう悪口ですからそれ。
人体の一部になっちゃってますから。
したら、留学つったら、
ホームステイなんですよ。
いや、ステイホームではなくて。民泊。
これがねー、なんつーかな
どこぞのマッチングアプリみたいな
システムなわけですよ。
用紙見たら、あなたの望む理想の条件♪
みたいな項目があってね、人見知りとしては
ちょっとガンガン声かけてくる
ブロンドの優しいお母さんとかを期待する
わけじゃないですか。
田舎の肝っ玉母さんみたいな。
いや、希望はエマ・ワトソンですよ?そりゃ。
ただね、言語の通じないという前提で
喋るのにすら気後れしてしまう長澤まさみか、
芸人の近藤春菜かっつったら
絶対に春菜じゃん。そこは。
喋らない竹内涼真くんと、めちゃめちゃ
話題広げてくれる出川哲朗だと
哲朗じゃん。
なんだったらステラおばさんでもいい。
でさー、これホームステイの
豆知識なんだけど、
んな希望項目ないから。
何故か、
・猫がいる、いない。
・子どもがいる、いない。
っつー条件分岐しかない。
いや、猫と子どもで何が解決できる問題なんて
1つもないわ!って強く思ったんですけど、
そこは猫なし子ども有りを選んだよね。
アレルギーっていう理由と
子どもと遊んでるうちに
家族にとけ込むっつー半地下みてーな
姑息な作戦で。
幸い、日本国内ではギリギリ
価値あるドローに持ち込み
共に過ごす大学生たちと
馴染むことも出来まして、
無事アメリカへと旅立ったわけです。
生まれて初めて降り立つアメリカの地。。。
とにかく色んなもんがでかい。
初めての食事つって連れてかれた
バイキングの量が半端じゃねーつっーか
パーツがでかい。
ドンキーのキングクルールとかが食ってそうな
くそでかい肉とかある。
大学までの送迎バスの中から見る景色は
日本ではまず見られないようなスケールで。。。
そんなこんなで
現地で一通りガイダイスを受け、
講師の先生の紹介やサポートしてくれる
大学生の紹介なんかも終わり
待ちに待った運命の時。
そう、下宿先のホストファミリーが
迎えに来てくれる時間。
私たちは、1つの空き教室に集められた。
・・・ドクン・・・・・ドクン
(春菜か?哲朗か?どっちだ??)
この時点まで相手先の情報は家族構成くらい。
要するに殆どない。
・・・ドクン・・・・・ドクン。
教室の入り口に注がれる全員の視線。
「Hi-!!(ハーイ♪!)」
中年くらいの太ったハイテンションの
おばさんが入ってきた。
(あ!ステラおばさんだ。)
「Akari!」
名前が呼ばれる。女の子だ。
私ではない。
どうやら、迎えに来た順に
誰の担当かを発表する形式のようだ。
また入ってくる。
「Naomi!」
呼ばれる。また私ではない。
迎えに来た家族とハグをしている。
この形式の恐ろしいところは、
教室に入ってきた瞬間に
一目で外れっぽい雰囲気を纏った人がいても、
名前を呼ばれるまでは
自分の担当かもしれない
という恐怖と戦わねばならぬところだ。
そして、最初の男子が呼ばれた時、
私含め男たちは悟った。
まっピンクの衣装に身を包み
ぶっきらぼうに入ってきた老婆。
(あ、明らかに異質だ。。。
私がコナンくんでなくとも
真っ先に怪しんでしまう容姿。。)
さっきまで女の子を迎えに来ていた
外人たちの、あの外人特有の
ヘーイ!ハグミー!
みたいなノリがない。
脳内服部
(おい工藤、、、これはまさか、、、
女子と男子のホストファミリーに差がある
っちゅーことやないんか、、、?)
脳内コナン
(服部落ち着け!まだ1人だ。たまたまという
可能性もある。。)
脳内服部
(せやかて工藤っ、、)
注※私はこの自粛中、
Huluでコナンばっか見てました。
次々と呼ばれる仲間たち。
1人、1人と減っていく。
男たちはみな、同情のような視線で
互いを見送っている。
・・・・ドクン・・・・・・ドクン
(そろそろ私の番かもしれない。。)
注※あなたの番ですも見てました。はい。
「Hello!」
・・・:
・・・・・
・・・・・ヴィン・ディーゼルやん。。。
・・・・ワイルドスピードで主役の
ヴィン・ディーゼルですやん。。
※ウィキペディア参照
【https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%BC%E3%83%AB】
そこには、グラサンをかけ、腕の筋肉で
あり得ないほどパツパツなTシャツを着た
スキンヘッドのおじさんがいた。
賢明な読者諸君であれば
もうお分かりであろう。
「bukkiee!!!!」
※注 思ったより長くなったので続きます。