とびら開けて

bukkiee.hatenablog.com
※前回の続き



正直甘く見てたわ。うん。
もっと歓迎されるかと思ってた
お客様気分だった

ホームステイってもっとこう
Welcome!みたいな
外人ってもっとこう
Hey!bukkieeee!的なもんだと思ってた。



もうね、家路までの車の中が気まずい・・・


(なんか話題、、なんか話題、、やべー
全然このハゲマッチョにかける話題がねぇー)
つって、頭の中フル回転ですよ


いや、私初対面だし、、留学生だし、そんな
流暢に英語も話せないし、
なんだったらお前がさっきからムキムキの腕で
助手席に変な圧迫感あるし、、、


てか!そこはそっちから
会話振ってくれんじゃないの?
何で友達の友達と一時的にふたりっきりになる
みたいな気まずさを、この異国の地で味合わなき
ゃいけないんだよ、もー!


したら、「腹減ってるか?」つって。
ハゲマッチョが。


よーやく口開いたなお前ー!ってなって
考えてみたら、晩御飯前なわけです。
しかもハゲマッチョには、高校生の息子と中学生の
娘さんがいらっしゃるわけです。
ここは、アメリカ。。。


もうね、絶対ホームパーティじゃん。

びっくりですよね、ドライブスルーで
ハンバーガー買わされたの。




いやいやいやいやいやいや、
いいんだよ、全然いいんですけど!
なんつーのかなぁ、適材適所ってあるじゃん?
これが別に3週間たった後の学校帰りとか
だったらさ、分かるわけ。
そのバーガーはあかんくない。つって言えるわけ。

初対面でさあ打ち解けましょう!で
バーガーしかもテイクアウトってどうよ
あと私が払うんですかこれ?
計算合ってます?

もうさ、そこのバーガーの提案から
オッケーの間は語学力とかじゃないじゃん!
しかもさ、さらっとなんか家にはあと
2人留学生が住んでるからみたいなこと
言ってませんでした?聞いてないんですけど

こういう時変にヒアリングだけ出来るって不幸。
あー、何故私は喋れないくせに聞き取れは
するんだろう。そこはもう日本人らしく
お茶を濁したよね。クラピカよろしく
答えは沈黙つって。


え、留学ってこんな感じ?
みんなこんな感じなの?
って疑念を払拭できないまま
お待ちかねのお家。


あら広いお家ですねー!なんて思いながら
ここがお前の部屋だからつって案内されたのが
まさかの階段の下。ハゲマッチョの顔3度見した。

ハリー・ポッターってあるじゃん
ちょうどハリーが住んでた
ダドリーの家の部屋がこんな感じ。


六畳一間で、ベッドがあって
一応机やクローゼットもあって
小さな四角い窓枠には、カーテンがかかってる。
まぁ、これはこれでありか・・・

ハゲマッチョいわく、
部屋にいる時はドアを開けろと。
ドアを開けてれば、いることが分かるからと。
コミュニケーションしやすいと。


コミュニケーション・・・?


もうすぐさま解き放ったよね。
とびら開けてー♪つって。

コミュニケーションしに来てんだから。
当然でしょ?つって、即実行。
息子(兄貴)と娘(妹)が帰ってきたら
笑顔でハローですよ。もうね、必死で
馴染もう馴染もうと頑張ってた。






・・・なんかね、間違ってたみたい。





自分の頑張りがどれくらい間違えてたかを
分かったのは、1週間くらい経った後。


分かったっつーか、何を間違えたのか
兄貴の野郎がね、僕に対してすげー当たり強い。
僕の部屋、壁越しにリビングがあるんですけど
むっさ壁ドンとかしてくるようになったりして
なんかもう精神的にも物理的にも当たりが強い。
彼女を連れ込んで夜中にチャリチョコの
映画見ながら壁ドンしてくる。

・・・何故?なんかした?

荒ぶる神々よ、静まりたまえ!つって
立ち向かうには、余りに高い語学力の壁。
てか、日本でさえも嫌われてるやつに
何で私のこと嫌い?なんて聞けるやつがいるのか。



私は、晩御飯をなるべく一人で食べるようにした。
だって、同じ家の留学生達も一緒に食べてないし。
学校は楽しかったから、それだけを救いに
夕方までは遊んで、夜は近所のスタバに
行くみたいな生活になった。

注文の仕方が分からない、、
なんつって日本では、行けなかったスタバに
今は言葉も通じない土地で一人たむろしている。
癖になってんだ、足音を殺して家に帰るの。



結構泣きそうになった。


実家に帰っておでん食べたい。


友達の家の犬を撫で回したい。




大学の留学プログラムには、
留学生のサポートとして、日本人含めた
先生がついていて、何か困ったら
連絡できるようになっていた。

連絡してみた。


驚くほど親身になってくれて
あなたは何も悪くないみたいな励ましを
受けた覚えがある。



自分の頑張りがどれくらい
そして何を間違えてたかを分かったのは、
また1週間くらい経った後。


その日、ホストファミリー家で
家族会議が行われた。
会議の場所は、リビングの食卓だった。


この日のことは、
一生忘れないと思う。


繰り返しなんですけど、僕の部屋って
リビングと壁越しになってまして、
玄関からリビングに抜ける廊下に
面してるんですね。

で、また繰り返しなんですけど、
私コミュニケーション取るために、
ドア全開なんですね。

で、これも繰り返しますけど
私、英語を喋れはしないけど、ある程度
聞き取れはするんです。


もうね、丸聞こえなのよ。会議が。
人生であります?自分が議題にされた
家族会議を隣の部屋で聞くこと。

※以下大まかな会議内容

ハゲマッチョ
「お前らは何でそんなにコミュニケーション
を取らないんだ。」


兄貴、妹
「・・・・・」


ハゲマッチョ
「せっかく日本から留学してきてる人が
いるんだから、もっと仲良くしなさい
分かったのか?」


兄貴
「だって、お父さん!あいつ恐いんだよ!
ずっと部屋のドア全開で、通るたびに声かけ
てくるし!何考えてんのか分かんねーよ!!」




・・・これ(ドア全開のやつ)かーーーー!!!
もうさ、アナもびっくりだよね。
とびら開けてー♪つって、
ありのーままのー姿見せるのーよー♪つって
開けた扉がまさかの地雷ですよ




もうね、すぐ閉めた。
で、考えてみた。
廊下を通る度に、部屋のドア全開にした
やばい知らないやつが笑顔で声かけてくる。。。。


だめだ、完全に不審者



エルサじゃないけど、もう扉開けられない。。


それから帰国までの数週間
私は扉を閉ざし、相変わらず
スタバで暇を潰す生活を続けた。
学校に行けば、腐るほど外人がいる。
無理にこの家に馴染まなくてもいいのだ。

この時期に、同じ家に住む留学生とも
話をするようになり、馴染むような
感じの家じゃないと言われたこともあって
気持ちはかなり楽になった。

俺のいない間に家族でバーベキューパーティー
やってたのには、ちょっと引いた。


迎えた最終日。今日でこの生活ともお別れ。
思えば色んなことがあった。厳しい戦いだった。
これまでの人生で間違いなく一番つらかった。
さあ掃除機かけて窓を拭いて、っと
カーテン開けたら、壁。


え?


3秒くらい固まってたと思う。



窓があるのにない。。
つーか、カーテンしかない。。
今まで窓だと思ってたカーテンの裏側は、
他と同じ白壁だった。白壁にカーテンついてた。


今までずっとドア全開で、窓開けようと
思ったことがなかったから、気づかなかった。。


この部屋には、窓すらないのか。。。


愕然として、私は帰路についた。



これからは、世界に目を向けるべきだの
日本人はスピーキングが弱いから
語学学習を見直すべきだの色々言ってっけど
日本人相手に人見知りするような人が
いきなり異国の知らない人相手に
コミュニケーション取れるわけがない。


私は、そのことを思い知った。
もし、今後留学を考えている方がいれば
私にできるアドバイスは1つである。




「とびらは少しだけ開けて。」





※余談ですが、同じ留学生の子が言った

あのババア、見送りの時にシートベルト
すら外さんかった

を私の体験談と共にここに残します