言いたいことも言えないこんな世の中じゃ

コロナ禍の休日。


やることもなく、店もやってないところが
多いので、外出するところもなく
天井見ながら人生とか、仕事とかについて
一丁前に考えてみる。



あれ、人生ってポケモンで例えれんじゃね?



いや、大学生の頃にね、キャリアプランナーの
講義を取ってたことがあってね
想定されてる人生のライフプランなるものが
冊子にまとめられてるわけですよ。


生まれてから義務教育までは、
マサラタウンからトキワタウンみたいなもんで
みんな一律で特に試練なんかもなく
難なくと進んでいくわけなんですが、

トキワの森くらいから
ちょっとずつ怪しくなってきまして

高校受験とか、大学受験とか結婚とか
子供の誕生とか、まぁ諸々あって
みんなリーグチャンピオンになっていくわけです。

で、私くらいの歳だと、
同年代がちょこちょこ結婚する
みたいな年齢に差し掛かってきたりなんかして。



結婚における試練つったら
誰がなんと言おうとあれですよ、あれ。



「お父さん僕に娘さんをください」




リピートアフターミー


「お父さん僕に娘さんをください」



な、馴染まねぇー・・・
これ実用化されてます?


これからの
「お前にお父さんと呼ばれる覚えはない!」
からの星一徹クラッシュくらうまでが
お笑いで言うお約束みたいなところあるけど。


そう言うと彼女は、


「全然大丈夫だよ!」


とあっけらかんに言ってみせた。


そうか、大丈夫なのか。。。
いや、大丈夫なのか?



迎えた当日。場所は東京、銀座のバル。
ワインが好きというお父さんのために
ある程度良いところを予約した。


向かう道中、もうこっちとら
緊張を紛らわすために彼女に質問攻めですよ。
何話せばいい?何が好き?どんな人?
ひとしきり聞ききった。
万全もは言えずとも、げんきのかけらと
すごいキズぐすりは用意した。


したら、



「そう言えば、お父さん自衛官だから!」


今世紀最大のえ?


「言ってなかったっけー」


早速ニューレコードのえ?



「いや、聞いてない!聞いてない!
自衛官自衛官って何?どこの?」



自衛官は、自衛官だよ。
 砂漠のある県の基地隊長してるよ」



もうさ、頼むからそういうのは
先に言おう、報連相大事にしてこ

もうね、俺の手持ちポケモン
全部パーじゃん。

私はさ、多少強面だけどお酒好きでよく喋る
親戚のおじさん的な想定をしてたの!

砂漠の基地隊長なんて、我々世代から言ったら
完全に七武海ですから。どこぞのクロコダイルと
戦う用意なんてないですから。

こちとら、平成のゆとり教育から
生まれた最悪の世代なわけですよ。
そんなやつと七武海で戦ったって
話題がないし、変な気遣いするし、もうげん海。


クロコダイルから娘貰うとか
どっちが盗賊かって話で
現役のオリバー・カーンから1対1で
ゴール決めろ言われるようなもんですよ。



したら、クロコダイルからLINE。
もう着いてますと。もう先に飲んでますと。


いや、自由か!


まぁいい。せめてしこたま
飲んで酔っ払っててくれ・・・



ピンチの時もいつだって乗り越えてきた。
相手がタケシだろうとカスミだろうと、
ヒトカゲ連れて乗り越えてきた。



俺、行ってくるよ。



席に付くと、小柄なそれなのに
やたらと姿勢のいいおじさんが
ワインを嗜んでいた。


席の時間は、2時間半。
初対面にしては長いが、こっちには娘がいる。
なんかあったら娘に振れば、なんとかなんだろ。



お義父さんは、単身赴任族だった。
娘と食事に行くことすら、久しぶりらしい。
俺の心配をよそにして、
食卓は大いに盛り上がった。



おもにお義父さんが。




いやねー、盲点だったよね。
娘が初めて彼氏を連れてくるっつー
親的には一大イベントであろう
この食事会において、
お義父さんの興味対象がまさかの娘。


いやねー、私もね、何度もパス貰おうと
ピッチを駆けずり回ったんだけどなぁー
ヘイヘイ!つったんだけどなぁー、
あれ、聞こえてなかったのかなぁー、



「お義父さんは、休みの日
何されてるんですか?」


「休みの日はですねー、あぁーそういえば、
娘ちゃん昔○○行ったの覚えてる?」


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出たぁ!○堂先輩のブーメランスネイク!!



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もうね、いい加減にしてほしい。


俺だってめっさ会話とか考えてきたの。
こう聞かれたらこう答えようみたいな
想定問答まで考えてきたのに
まさかの堀尾(テニスの王子様
試合の解説する猿※↑の1番右)ポジション。



いいぜ、お前がその気ならこっちだって
営業数年間で身につけた上っ面の会話術で
意地でも会話に参加してやる。


テーマ変えます。


「お義父さんは趣味とかあるんですか?」


「お義父さん、お酒好きなんですってね、
家でもよく飲んでるんですか?」


「単身赴任先だとどこがよかったですか?」




「オペラ見るのが好きですねー、
昔○○を見に行ったの覚えてる?娘ちゃん」

「それなりですね。あー、娘ちゃんは、
あんまり飲まへんね」


「あー、あそこよかったよね娘ちゃん」



(こ、こいつ全ての球を娘への打球にしやがる)



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私の会話は、吸い込まれるように
砂漠の彼方へと消え、私はテーブルに
並べられた料理とお酒の量に
気を配るだけの仲介人と化した。


〜♪〜

負けたくやしさは ふるえるほどだけど、
にぎりこぶしをほどいて
ズボンで汗拭き 握手しよう!

〜♪〜


思い出した。


そう言えば、子供の頃
カスミに全然勝てなかったわ。。。





余談ですが、テニスの王子様
画像にモザイクかけながら
自分何やってんだろと思いました。