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電車男(メン)


目を閉じると、どこからか
ラーメンの香りが漂ってくる。
こってりとしたとんこつの匂い。
ニンニクをたっぷり使った
濃いスープ、それに絡む麺。

「へい、らっしゃい!」

そんな大将の声を想像しながら
ゆっくりと目を開ける。





ちょっ、ごめん。
息吹きかけてくんのやめてくれません?

目の前にはおっさん(180cmオーバー)。
いやねー、これが街中だったら、
何だったら汚い路地裏であってもいい。だったら
ラーメンの香りが漂ったって全然いいんですけど
どう見回したってここは電車の中だし、
どう見たってこのとんこつの匂いは
おっさんの口から吐き出されてるものだし、、


しかも、このおっさん、何だろう。
呼吸法が独特っつーか、、、
どう説明したらいいかな。
なんかね、呼吸に全身全霊をかけちゃってる感じ?
この打者を抑えたら、憧れの甲子園だ!つって
もう、スゥゥゥーーーーーーーーーー、

(長ぇ!長ぇ!)

ピタッ、

ハァァァァーーーーーーーーーー

(臭ぇ!臭ぇ!)


おっさん!!俺の顔に全部かかってるから!!
もう、香りとか匂いじゃなくて臭。ラーメン臭。
あのねー、自慢じゃないですけど
僕、花粉症でも慢性鼻炎でもないんですよ。
いつだって顔にある2つの通気孔は
風通し抜群なわけです。
そんな僕がどこから息を吸うかつったらね、
もう紛れもなく鼻なわけですよ。
で、鼻つったら空気取り込むついでに
何らかのスメルだって取り込んじゃうわけ。
新鮮な空気ー!つって吸ったら
ラーメン屋の換気扇直行。

「へい、らっしゃい!」

っつー店長かすめながら換気扇直行。


しかもさ、おっさん(180cmオーバー)の排気口の
風向きが僕(170cmちょい)にちょうど当たる
くらいの角度で、おっさんの口と僕の鼻が
まさかのシンデレラフィット。
で、こっちも何とかおっさんの呼吸の合間の裏拍に
合いの手みたいに呼吸を入れてくんだけど
呼吸のリズム感が独特すぎて、何回かに1回は
換気扇の出すタイミングと鼻の野郎の吸う瞬間が
まさかのシンクロ率を発揮したりなんかして、
スープの中に頭突っ込んだみたいな臭いに
うわぁー!うわぁー!うわぁー!つって
お前はもう死んでいる。


別に、ラーメン嫌いとかじゃないんですよ、
何だったら好きな部類ですよ!
でも、電車の中での出会いは求めてないっつーか
ましてや、おっさんの排気口からとか、、
大体ね、鼻から吸えるってことは
鼻から吐くことも出来るんじゃないの?
鼻って片側一車線からの合流注意じゃないの?
おっさんの鼻、これでもかってくらい一方通行。
乗り口(鼻)、これでもかってくらい渋滞。
降り口(口)、これでもかってくらいの交通量。


(向こうに行けぇぇ~向こうに行けぇぇぇぇ~)


つって散々念を送ってみた。

どかないおっさん。

おっさんのこってりの息!

にらみつける!


みたいな攻防を繰り返してたら


車掌
「大阪ー、大阪ー」



人が降りていく。
おっさんの周りにもスペースが出来た。
こんなドア付近に陣取らなくても席に座れるよ。
さぁ、行くんだおっさん。
ラーメン臭引っ提げてどこへでもお行き。


したら、
おっさん、真横に来ました。



これが!!!!!!


ア おっさん
| 僕
| 席 席 席 席



こう!!!!!



ア 僕
| 席 席 おっさん 席 席



これねー、一見通路に行ってくれたことで
おっさんによる被害が
絶たれたように見えるじゃないですかー。
これ、ちょっとしたトリックアートで
種明かしするとね、


排気口


から


僕 ⏪ 排気口



スゥーーーーーーーー






全部!!!!!!




かかってるからァァァー!!!!!!!





彼女
「うわっ、にんにく臭っ、ラーメン食べました?」



スゥゥゥゥーーーーーー



全部!!!


テイクアウトしちゃってるからぁぁぁぁぁー!!!






えー、現場からは以上です。