スーパーマンになったら

もしも私が超人的なパワーを
持ってたとして
人の目に触れないようにこっそりと
世の中のために活動していたとしたら
このどんよりとした空や建物は
少しはきらめいて見えるのかしら

日曜日の朝、会社へと搬送される
エスカレーターに乗りながら考えてみる

もしそうだったら
私は、今この瞬間にも
いつ助けを求めている人からの
声をキャッチしてもおかしくない

白衣と眼鏡のドリフ頭の博士から

〇〇町で事件発生、至急向かってくれ

という連絡がこのiPhone SEに入るかもしれない
したら、私はすぐに近くのパチンコ店のトイレで
コスチュームに着替えて飛んでいくだろうに


いやぁ、なまじ社会人5年目ともなってくると
成長とか、知識量とか、技術なんかよりも
いかにミスをごまかすかみたいな
要領的な部分のスキルアップが甚だしくて

今日もね、午後4時までにメールで
出さなきゃいけない書類をね
もうほんとツルッと出し忘れたことに
気づいたのが夜の7時


・・・気づかなきゃよかったなぁ、、

って思いつつも早いところ謝るに
越したことはないってのは十分に
分かってるわけです。


・・・とりあえず電話するか


「・・・もしもし?」

(お!まだいた!ラッキー!)

「遅くにすみません。今日までの書類、
 お昼頃にメールで送ったんですけど、
 届いてますでしょうか・・・?」

もうね、自然と口をついて出てました

メール送ってないじゃなくて
メール送ったけど、何らかのアクシデントで
届いていない振り

ほんと演技に幅が出すぎ


「おっかしーなぁー、
 こちらには届いてませんけどねー
 何時に送りましたかー?」

「14時半過ぎ頃だと思うんですけどー
 打ち合わせとかあって、確認できなくてー
 あれー、届いてないですかねー?」


うっ!またこの口が、、、静まりたまえ!
(※送ったけど、忙しくて電話できなかった振り)

あっれれぇー、おかしぃぞぉー?
つって二人でコナン君ばりに
謎を探求してたんですけど

うん、ほんとごめん。送ってないわ
演技が迫真に入りすぎて
なんか送った気にすらなってきたけど。

したら、向こうの人も優しくて

「うちのメールサーバとかの不具合かもしれませんので、IT部門に確認してみます!」

つって。謎が解けていくー♪つって

ありがとうございます!って言ったけど
うん、ごめん。全然ありがたくない

謎っつーか、私にとっては何ひとつ謎ではないし
正直あんまり大事にしてほしくないっつーか
解けない方がいい謎もあるからね、世の中
真実はいつも1つとは限らないじゃん
この令和の世の中

思ったよりも事が大きくなってきた
次に相手はどう来る、どう来るんだ、、
相手が確認してるわずかな時間に
残業で鈍い頭をフル回転させる

私ももう5年目。こういう時の
演技力なら劇団四季をも超える私にとって
常に相手の先を読むなんてことは・・・あ

メールを漁りながらの刹那
致命的なミスを犯したことに気づく


「送信メール残ってるだろうから
 確認して転送ください」


・・・これ言われたら終わりじゃん


あー!つって、マスクの下でひろゆき並に
顎突き出しながら慌ててグーグル先生ですよ



検索  送信メール 時間を変える方法



・・・こ、ここまで来たらやるしかねぇ
じっちゃんの名にかけて

数分後、Yahoo知恵袋で対策を発見
どうやらパソコン本体の設定時間を変えれば
行けるらしい

今は、午後7時半。
私が送ったとされる推定犯行時刻は、午後2時半。
ざっと見積って5時間の時差

パソコンの時刻をオマーンの時刻(時差5時間)に設定
私宛にメールを飛ばす
(ここら辺でラピュタの「君をのせて」が流れる)


父さん、行ってきます


「送信!」



オマーンの人、聞こえますかー!!
(サバンナ八木風)





返ってきたメール




オマーンの時刻は、19時半でした。





今日も私はスーパーマンになれそうにない。

甘酸っぱいシチュエーションって大人がやると急に変態くさいよね

いやぁー、苦節20数年。
そろそろ私にもモテ期なるものが
来たかもしれない。

先日ね、何年ぶりっつーくらいに
告白をされまして、電話で。



ヒューヒュー!

おいおい、どうすんだよー!
付き合っちゃえよー!

何言ってんだよお前ら!
あんなやつ知らねーし、全然、か、可愛くねーし

そんなん言っちゃって
顔赤いんじゃないー?嬉しいんじゃなーい??

そんなんじゃねーし!

つーか、電話越しだったからよく分かんねーし
あいつがどんなやつかよく分かんねーし、、

一回すれ違っただけで面識ないしー
つーか、軽く20くらい歳上だしー
つーか!留守番電話だったし!!
私!!!結婚してるし!!!!

もうね。大事件ですよ。
あります?人生でほぼ他人から
留守電に告白吹き込まれること。



あの







好きです。

失礼いたします。

ガチャン、ツーツーツー





失礼しますじゃねー!!!

失礼しますってのは、失礼だと思われる
行為をやった時に言うわけであって
留守番電話に一方的に告白込めるってのは
失礼でカテゴライズされるような行為じゃないし
その失礼しますも何に失礼なのか分かんないし
あれ、失礼って何だっけ?
失礼ってこんな漢字だっけ?
そこ飛び出してたっけ?
失礼ってヒゲとか生えてたっけ?
コンタクトにした?


失礼がゲシュタルト崩壊

で、今電話を無視し続けるっていう
シンプルな作戦をしてるんですが
2日置きくらいに追い電話がくる。


よくさー、好意のない相手からの
告白って気持ち悪いって女子会的な雑誌とか
コラムとかで書いてあんじゃん
いやぁー気持ちわかるわぁ・・・
やっぱね、知らない人に告白したら駄目。
これ、基本だから。必修科目に載せといて。


この話したら、同僚が
それは別のカテゴリーだからつって。
怪談とかで処理される案件だからつって。
うわ寒っ!鳥肌たった!!つって。

それを聞きながら私は思うわけです。

うわぁ、もう急激に千鳥のノブと
友達になりたい。

あの高いかすれ気味の声で

「ちょっと待てぇ」とか
「クセがすごい」とか
独特の例えツッコミなんかしてくれたら
もう私何もいらないのに。
あぁ、どこにいるのノブ。



あ、ノブ私のこと全然知らないわ。

言いたいことも言えないこんな世の中じゃ

コロナ禍の休日。


やることもなく、店もやってないところが
多いので、外出するところもなく
天井見ながら人生とか、仕事とかについて
一丁前に考えてみる。



あれ、人生ってポケモンで例えれんじゃね?



いや、大学生の頃にね、キャリアプランナーの
講義を取ってたことがあってね
想定されてる人生のライフプランなるものが
冊子にまとめられてるわけですよ。


生まれてから義務教育までは、
マサラタウンからトキワタウンみたいなもんで
みんな一律で特に試練なんかもなく
難なくと進んでいくわけなんですが、

トキワの森くらいから
ちょっとずつ怪しくなってきまして

高校受験とか、大学受験とか結婚とか
子供の誕生とか、まぁ諸々あって
みんなリーグチャンピオンになっていくわけです。

で、私くらいの歳だと、
同年代がちょこちょこ結婚する
みたいな年齢に差し掛かってきたりなんかして。



結婚における試練つったら
誰がなんと言おうとあれですよ、あれ。



「お父さん僕に娘さんをください」




リピートアフターミー


「お父さん僕に娘さんをください」



な、馴染まねぇー・・・
これ実用化されてます?


これからの
「お前にお父さんと呼ばれる覚えはない!」
からの星一徹クラッシュくらうまでが
お笑いで言うお約束みたいなところあるけど。


そう言うと彼女は、


「全然大丈夫だよ!」


とあっけらかんに言ってみせた。


そうか、大丈夫なのか。。。
いや、大丈夫なのか?



迎えた当日。場所は東京、銀座のバル。
ワインが好きというお父さんのために
ある程度良いところを予約した。


向かう道中、もうこっちとら
緊張を紛らわすために彼女に質問攻めですよ。
何話せばいい?何が好き?どんな人?
ひとしきり聞ききった。
万全もは言えずとも、げんきのかけらと
すごいキズぐすりは用意した。


したら、



「そう言えば、お父さん自衛官だから!」


今世紀最大のえ?


「言ってなかったっけー」


早速ニューレコードのえ?



「いや、聞いてない!聞いてない!
自衛官自衛官って何?どこの?」



自衛官は、自衛官だよ。
 砂漠のある県の基地隊長してるよ」



もうさ、頼むからそういうのは
先に言おう、報連相大事にしてこ

もうね、俺の手持ちポケモン
全部パーじゃん。

私はさ、多少強面だけどお酒好きでよく喋る
親戚のおじさん的な想定をしてたの!

砂漠の基地隊長なんて、我々世代から言ったら
完全に七武海ですから。どこぞのクロコダイルと
戦う用意なんてないですから。

こちとら、平成のゆとり教育から
生まれた最悪の世代なわけですよ。
そんなやつと七武海で戦ったって
話題がないし、変な気遣いするし、もうげん海。


クロコダイルから娘貰うとか
どっちが盗賊かって話で
現役のオリバー・カーンから1対1で
ゴール決めろ言われるようなもんですよ。



したら、クロコダイルからLINE。
もう着いてますと。もう先に飲んでますと。


いや、自由か!


まぁいい。せめてしこたま
飲んで酔っ払っててくれ・・・



ピンチの時もいつだって乗り越えてきた。
相手がタケシだろうとカスミだろうと、
ヒトカゲ連れて乗り越えてきた。



俺、行ってくるよ。



席に付くと、小柄なそれなのに
やたらと姿勢のいいおじさんが
ワインを嗜んでいた。


席の時間は、2時間半。
初対面にしては長いが、こっちには娘がいる。
なんかあったら娘に振れば、なんとかなんだろ。



お義父さんは、単身赴任族だった。
娘と食事に行くことすら、久しぶりらしい。
俺の心配をよそにして、
食卓は大いに盛り上がった。



おもにお義父さんが。




いやねー、盲点だったよね。
娘が初めて彼氏を連れてくるっつー
親的には一大イベントであろう
この食事会において、
お義父さんの興味対象がまさかの娘。


いやねー、私もね、何度もパス貰おうと
ピッチを駆けずり回ったんだけどなぁー
ヘイヘイ!つったんだけどなぁー、
あれ、聞こえてなかったのかなぁー、



「お義父さんは、休みの日
何されてるんですか?」


「休みの日はですねー、あぁーそういえば、
娘ちゃん昔○○行ったの覚えてる?」


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出たぁ!○堂先輩のブーメランスネイク!!



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もうね、いい加減にしてほしい。


俺だってめっさ会話とか考えてきたの。
こう聞かれたらこう答えようみたいな
想定問答まで考えてきたのに
まさかの堀尾(テニスの王子様
試合の解説する猿※↑の1番右)ポジション。



いいぜ、お前がその気ならこっちだって
営業数年間で身につけた上っ面の会話術で
意地でも会話に参加してやる。


テーマ変えます。


「お義父さんは趣味とかあるんですか?」


「お義父さん、お酒好きなんですってね、
家でもよく飲んでるんですか?」


「単身赴任先だとどこがよかったですか?」




「オペラ見るのが好きですねー、
昔○○を見に行ったの覚えてる?娘ちゃん」

「それなりですね。あー、娘ちゃんは、
あんまり飲まへんね」


「あー、あそこよかったよね娘ちゃん」



(こ、こいつ全ての球を娘への打球にしやがる)



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私の会話は、吸い込まれるように
砂漠の彼方へと消え、私はテーブルに
並べられた料理とお酒の量に
気を配るだけの仲介人と化した。


〜♪〜

負けたくやしさは ふるえるほどだけど、
にぎりこぶしをほどいて
ズボンで汗拭き 握手しよう!

〜♪〜


思い出した。


そう言えば、子供の頃
カスミに全然勝てなかったわ。。。





余談ですが、テニスの王子様
画像にモザイクかけながら
自分何やってんだろと思いました。

ブログの時代は終わった

自分、褒めて伸びるタイプなんで!
褒めて伸びるタイプなんでー!


つってはや5年目。


いや、もう下からの追い上げがすげー。
新人とかもはや大学時代すら被ってないっつーのに
質問の切り返し方とか、何打っても
こっちの返しやすいところに落ちるっつーか。。。

てか、今年入社が大学時代すら被ってないってのが
自分の中で衝撃的すぎて。。。
なんつーの、そのジェ、ジェネレーションギャップ
とか?そんなもんを日々感じてるこの頃。

こないだ営業同行した新人から
すごい喋りますね、無言気になるタイプですか?
なんつって言われて、いやいやおめー
俺だって気使ってんだぜ?つって
心の中は、もうギザギザハートですよ。

もうね、この一言でグレてもおかしくない。


そんなこと聞かれてるやつでも、
新人から仕事のやりがいとかを
聞かれるわけですよね。


最近同期が月に一人づつ辞めていって
軽く送り人みたいになってる私ですが
今まさに働いてる人たちに問いますけど
そのー、あのー、えーっとー、、






みなさん、仕事楽しいですか??





いや、もういい!!もう何も言わなくていい!!
先生お前らのことはよぉーーく分かってっから!


こないだね、ゼミの同期がLINEの
一言っつーのかな、ノート的な?
ものを更新して、私にも通知が来たんですけど
もうね、すげーの。
ちょっとした革命軍なの。


〈以下、若干の修正の後転記〉

色んな掛け算をして今後の若手の
日本人のキャリアを変えて行き、
選挙のあり方や政治家のあり方など
今から考える力を養い日本がまた世界でも
トップになれる社会を作って行きましょ!!


私とか算数超苦手なわけ。
つるかめ算とかもまじで知らないし
ベクトルとかも習ってないんだけと、
己のキャリアにかけ算とか出た時点で
もうお手上げなわけ。

ってか日常的な社会生活における
かけ算って何?


とか思うじゃん!思うよね!思おうよ!


まさか20代のスタンダードが
こういう考え方の人なのか、、、?






私は、ブログが好きだ。


自分が書いてるのも好きだし、
人が書いたものも好きだ。

それは、その人が日頃思ってることや
その日体験したことを思いのままに
綴ってることで、世の中には
こんな人がいるんだなーとか
自分と同じ考えの人もいるんだなーとか
色んな意味世界を知れるからなのだと思う。


だけど、年々そんなブログに出会う
ことが難しくなってきてる。


流行りのコンテンツ。
一目で目を引くタイトル。
テンプレートとなってる小見出し


憎悪でもいいし、愛情でもいいし
楽しかったことでもいい。
もっと、心の底から何か吐き出すような
何かがあれば、私はそれを活力にできる気がする。

表現方法のためのブログが
プレビューや、連続投稿日数を目的になることが
とても悲しく感じる。
てか、丁寧な生活って何?どういうこと?





私は、仕事に楽しみがない。
だけど同時に、特に官公庁を相手にしている
自分の仕事が自分たちの常識を変えることができる
とても意義深いものだとも思っている。



みんなはどうなんだろう。



人間関係とか、給料とか。
愚痴はいっぱいあるのだろうけども、
単純に自分の仕事内容に関して、
どう考えてるんだろうか。


多くの人は、個人ではなく
企業として仕事をしてるのだから
きっと色んな考え方があるのだと思う


ほとんどの人たちは、世界を変えるための
一人ではなく、世界を変える企業のための
一人として働いているのだから。




そう思い、私は、今日もネットの海を彷徨う。

本日もまた出会えそうにない。

とびら開けて

bukkiee.hatenablog.com
※前回の続き



正直甘く見てたわ。うん。
もっと歓迎されるかと思ってた
お客様気分だった

ホームステイってもっとこう
Welcome!みたいな
外人ってもっとこう
Hey!bukkieeee!的なもんだと思ってた。



もうね、家路までの車の中が気まずい・・・


(なんか話題、、なんか話題、、やべー
全然このハゲマッチョにかける話題がねぇー)
つって、頭の中フル回転ですよ


いや、私初対面だし、、留学生だし、そんな
流暢に英語も話せないし、
なんだったらお前がさっきからムキムキの腕で
助手席に変な圧迫感あるし、、、


てか!そこはそっちから
会話振ってくれんじゃないの?
何で友達の友達と一時的にふたりっきりになる
みたいな気まずさを、この異国の地で味合わなき
ゃいけないんだよ、もー!


したら、「腹減ってるか?」つって。
ハゲマッチョが。


よーやく口開いたなお前ー!ってなって
考えてみたら、晩御飯前なわけです。
しかもハゲマッチョには、高校生の息子と中学生の
娘さんがいらっしゃるわけです。
ここは、アメリカ。。。


もうね、絶対ホームパーティじゃん。

びっくりですよね、ドライブスルーで
ハンバーガー買わされたの。




いやいやいやいやいやいや、
いいんだよ、全然いいんですけど!
なんつーのかなぁ、適材適所ってあるじゃん?
これが別に3週間たった後の学校帰りとか
だったらさ、分かるわけ。
そのバーガーはあかんくない。つって言えるわけ。

初対面でさあ打ち解けましょう!で
バーガーしかもテイクアウトってどうよ
あと私が払うんですかこれ?
計算合ってます?

もうさ、そこのバーガーの提案から
オッケーの間は語学力とかじゃないじゃん!
しかもさ、さらっとなんか家にはあと
2人留学生が住んでるからみたいなこと
言ってませんでした?聞いてないんですけど

こういう時変にヒアリングだけ出来るって不幸。
あー、何故私は喋れないくせに聞き取れは
するんだろう。そこはもう日本人らしく
お茶を濁したよね。クラピカよろしく
答えは沈黙つって。


え、留学ってこんな感じ?
みんなこんな感じなの?
って疑念を払拭できないまま
お待ちかねのお家。


あら広いお家ですねー!なんて思いながら
ここがお前の部屋だからつって案内されたのが
まさかの階段の下。ハゲマッチョの顔3度見した。

ハリー・ポッターってあるじゃん
ちょうどハリーが住んでた
ダドリーの家の部屋がこんな感じ。


六畳一間で、ベッドがあって
一応机やクローゼットもあって
小さな四角い窓枠には、カーテンがかかってる。
まぁ、これはこれでありか・・・

ハゲマッチョいわく、
部屋にいる時はドアを開けろと。
ドアを開けてれば、いることが分かるからと。
コミュニケーションしやすいと。


コミュニケーション・・・?


もうすぐさま解き放ったよね。
とびら開けてー♪つって。

コミュニケーションしに来てんだから。
当然でしょ?つって、即実行。
息子(兄貴)と娘(妹)が帰ってきたら
笑顔でハローですよ。もうね、必死で
馴染もう馴染もうと頑張ってた。






・・・なんかね、間違ってたみたい。





自分の頑張りがどれくらい間違えてたかを
分かったのは、1週間くらい経った後。


分かったっつーか、何を間違えたのか
兄貴の野郎がね、僕に対してすげー当たり強い。
僕の部屋、壁越しにリビングがあるんですけど
むっさ壁ドンとかしてくるようになったりして
なんかもう精神的にも物理的にも当たりが強い。
彼女を連れ込んで夜中にチャリチョコの
映画見ながら壁ドンしてくる。

・・・何故?なんかした?

荒ぶる神々よ、静まりたまえ!つって
立ち向かうには、余りに高い語学力の壁。
てか、日本でさえも嫌われてるやつに
何で私のこと嫌い?なんて聞けるやつがいるのか。



私は、晩御飯をなるべく一人で食べるようにした。
だって、同じ家の留学生達も一緒に食べてないし。
学校は楽しかったから、それだけを救いに
夕方までは遊んで、夜は近所のスタバに
行くみたいな生活になった。

注文の仕方が分からない、、
なんつって日本では、行けなかったスタバに
今は言葉も通じない土地で一人たむろしている。
癖になってんだ、足音を殺して家に帰るの。



結構泣きそうになった。


実家に帰っておでん食べたい。


友達の家の犬を撫で回したい。




大学の留学プログラムには、
留学生のサポートとして、日本人含めた
先生がついていて、何か困ったら
連絡できるようになっていた。

連絡してみた。


驚くほど親身になってくれて
あなたは何も悪くないみたいな励ましを
受けた覚えがある。



自分の頑張りがどれくらい
そして何を間違えてたかを分かったのは、
また1週間くらい経った後。


その日、ホストファミリー家で
家族会議が行われた。
会議の場所は、リビングの食卓だった。


この日のことは、
一生忘れないと思う。


繰り返しなんですけど、僕の部屋って
リビングと壁越しになってまして、
玄関からリビングに抜ける廊下に
面してるんですね。

で、また繰り返しなんですけど、
私コミュニケーション取るために、
ドア全開なんですね。

で、これも繰り返しますけど
私、英語を喋れはしないけど、ある程度
聞き取れはするんです。


もうね、丸聞こえなのよ。会議が。
人生であります?自分が議題にされた
家族会議を隣の部屋で聞くこと。

※以下大まかな会議内容

ハゲマッチョ
「お前らは何でそんなにコミュニケーション
を取らないんだ。」


兄貴、妹
「・・・・・」


ハゲマッチョ
「せっかく日本から留学してきてる人が
いるんだから、もっと仲良くしなさい
分かったのか?」


兄貴
「だって、お父さん!あいつ恐いんだよ!
ずっと部屋のドア全開で、通るたびに声かけ
てくるし!何考えてんのか分かんねーよ!!」




・・・これ(ドア全開のやつ)かーーーー!!!
もうさ、アナもびっくりだよね。
とびら開けてー♪つって、
ありのーままのー姿見せるのーよー♪つって
開けた扉がまさかの地雷ですよ




もうね、すぐ閉めた。
で、考えてみた。
廊下を通る度に、部屋のドア全開にした
やばい知らないやつが笑顔で声かけてくる。。。。


だめだ、完全に不審者



エルサじゃないけど、もう扉開けられない。。


それから帰国までの数週間
私は扉を閉ざし、相変わらず
スタバで暇を潰す生活を続けた。
学校に行けば、腐るほど外人がいる。
無理にこの家に馴染まなくてもいいのだ。

この時期に、同じ家に住む留学生とも
話をするようになり、馴染むような
感じの家じゃないと言われたこともあって
気持ちはかなり楽になった。

俺のいない間に家族でバーベキューパーティー
やってたのには、ちょっと引いた。


迎えた最終日。今日でこの生活ともお別れ。
思えば色んなことがあった。厳しい戦いだった。
これまでの人生で間違いなく一番つらかった。
さあ掃除機かけて窓を拭いて、っと
カーテン開けたら、壁。


え?


3秒くらい固まってたと思う。



窓があるのにない。。
つーか、カーテンしかない。。
今まで窓だと思ってたカーテンの裏側は、
他と同じ白壁だった。白壁にカーテンついてた。


今までずっとドア全開で、窓開けようと
思ったことがなかったから、気づかなかった。。


この部屋には、窓すらないのか。。。


愕然として、私は帰路についた。



これからは、世界に目を向けるべきだの
日本人はスピーキングが弱いから
語学学習を見直すべきだの色々言ってっけど
日本人相手に人見知りするような人が
いきなり異国の知らない人相手に
コミュニケーション取れるわけがない。


私は、そのことを思い知った。
もし、今後留学を考えている方がいれば
私にできるアドバイスは1つである。




「とびらは少しだけ開けて。」





※余談ですが、同じ留学生の子が言った

あのババア、見送りの時にシートベルト
すら外さんかった

を私の体験談と共にここに残します

2017卒に寄せて

ハローハロー
2017卒のみんな、元気ー?

2017年ってあれだね、4年前なんだね。

あれだけ就職活動に嫌気がさしながら
黒いスーツを身にまとって
街中を闊歩した日も遠い昔。

「とりあえず3年」なんつー
ウィキペディア参照くらい当てのない
格言に惑わされ早4年ですよ。

4年つったらちょっとした
ヴィンテージものなわけですが
もうね、1つも安定感がない。
ドンッ!なんて効果音出せたことない。

4年つったら、もうのび太くんだって
中学生になってね、
ドラえもんひみつ道具で解決できない
問題とかも多々出てくる。
しずかちゃんの入浴シーンとかも
何らかのRがかかってくる。

そんな中、5年目間近のび太
降りかかってくるのは、

これやっといてー!
あ、それやっぱ無しになったわー!
至急対応してください。
それ私の担当じゃないんで、あっちに
聞いてください。


う・っ・せ・ぇ・わ / Aho


増える仕事、巡りめく社内調整、
容赦ない締め切り、社内でのたらい回し
むかつくオヤジ。
迫りくる鬼どもを、全集中!つって
もうばっさばっさと切り伏せながら
ふと考えるわけです。



あー・・・帰りたい



そんな中での急なコロナ。
一時的に許される在宅勤務。


もうね、鬼殺隊から帰り隊から働きたくない
まで一気にランクダウンしまして、
柱としてはー、帰りたいの柱としてはー、
明日でいいんじゃね?
っつージャッジを繰り返してたら
判断が遅いつってまぁ軽く怒られまして。
奇しくも炭治郎と全く同じ怒られ方を
したわけですが

それがちょうどね、休憩がてらに
あつ森をやってるところで。
明らかにマグロと思われる魚影が食いつくか
否かみたいな絶妙なタイミングだったのね。

フェイントをかけるマグロ
ボタンを押す時をはかる俺
テレビはミュートなので視力に
全集中力を集める。
頭にあるのは、今この駆け引きのみ。

電話から聞こえる課長の声

「この件どうなってる?
最近だんだん在宅勤務たるんでない?」


今っ!!よっしゃ!きたー!!


「ちゃんとお願いね!」


「ハイッ!!!!!!」


ウルトラソウルかつっーくらいの返事の後
間違えて電話切っちゃってました。



それでもね、私は思うわけです。
キャリアアップ!とか自己実現!とか
圧倒的成長!とかワークライフバランス
とかやりがい!とか。
4年前にあれだけ振り回された言葉たちは、
とても通常業務の中で分解できるよう
なものではないし。

次々に新天地へと羽ばたいていく同期たちが、
心なしか皆きらめいて見えるのは、
不満とかじゃなく、自分が置いてかれて
いる気がするからだけなのもしれない。


4年前色んな戦場で出会った
2017卒という名の戦士たちは、
今頃どこで闘っているのだろう。



街を歩くときにふと見る景色から
電車の窓の広告から
果てには、手元の小さなディスプレイの
広告欄が転職サイトに埋まり、
「動くなら今だ」という督促を受け続け
4年前に自分が書いた志望動機を見ながら
私は自分の中の室井管理官に目配せをする。


「室井さん、指示をください!」


「・・・待機だ。」


私の中の職の大捜査線は、まだ踊らない。



そんなことをカフェで悶々と書いてたら
有線から西城秀樹


憂鬱など吹き飛ばしてー♪
君も元気だせよー♪


つって励ましてくれたので
もう少しは頑張れそうです。



かと思ったら


若いうちはやりたいこと何でもできるのさ♪


って言い出したから、やっぱだめだわ。

ステイホームと聞くとホームステイを思い出します。

外国が怖いって話。


外国っていいと思うんですよ。
イギリスのビッグベンしかり、
アメリカの自由の女神しかり。
景色はとっても洒落ていて
現地のご飯なんて
まじでほっぺた落ちるくらい美味しくって
外国の人はみんなフレンドリーで
和気あいあいで。

今まさに世界中がコロナコロナつって
騒いでるってのにね、
かたや外国では、ベランダ越しに
瓶ビール片手で乾杯ですよ。

金髪美人やヒゲデブ親父が
ルネッサ~ンスつって
やってるのをみて私は思うわけ。

「あ~、外国の人っていいなぁー。
みんな和気あいあいとしてフレンドリーで、
どんな時でも楽しそうで」

したら、心の奥底から聞こえる声。

「まさか忘れたのか?あの時のことを・・」



あ、あの時、、、、、、



私はあの時、大学2回生だった。


当時の私は、当初入ろうとした軽音サークルの
いかにもザ・大学生かつ俺たちサブカル
周りから見るとイレギュラーなことしてるぜ☆
的な空気感に重度の酸欠を起こし、
酸素マスク片手にかろうじてたどり着いた
くそローカルな定食屋のアルバイトに
青春を捧げていた。

ある時は、ラップをかけたままの
エビフライを客に出し、
またある時は、壁掛け時計を私の頭から
店長の頭へとアシストをし、
客が剥がした店の内装を
アロンアルファでごまかした。
さらには、炊飯器をひっくり返して散乱した
米をゴミ箱に隠蔽するという
トリッキーな勤務スタイルを取っていた。
(店長、ごめん。。)

そんな私であったが、挨拶とお礼だけは
きちんと言うため、辛うじて
怒鳴られることもなく働いていた。
当時は、やることも友達も少なかったので、
週のほとんどは定食屋で過ごしたと思う。


そんな私を見て、息子の青春を心配したのか
母から短期留学の申し出があった。


定食屋に搾取され、
講義をサボって京都の河原町で遊び呆けてる
世の全ての大学生を呪いかけてた私は、
大学生のうちしか出来ないっつー
いかにもな口説き文句で留学を決意した。

行き先は複数の選択肢から選べたが、
ロサンゼルスという響きに憧れた私は
アメリカを選択した。

留学とは言え、大学のプログラム。
現地には同じ大学から来た日本人と
一緒に授業を受けたり、遊んだりする。



なんつーかな、この辺りからね
うっすら雲行きが怪しくなってきまして。
ってのも、私、同学年でもしばらく敬語を
続けるくらいの人見知りなんで。
職場で1年付き合えば分かってくるって
言われるくらいの閉じこもり具合なんで私。

入社半年間、あだ名「鼻」ですよ。
もうね、あだ名がシンプル。
あだ名がってかもう悪口ですからそれ。
人体の一部になっちゃってますから。


したら、留学つったら、
ホームステイなんですよ。
いや、ステイホームではなくて。民泊。

これがねー、なんつーかな
どこぞのマッチングアプリみたいな
システムなわけですよ。

用紙見たら、あなたの望む理想の条件♪
みたいな項目があってね、人見知りとしては
ちょっとガンガン声かけてくる
ブロンドの優しいお母さんとかを期待する
わけじゃないですか。
田舎の肝っ玉母さんみたいな。

いや、希望はエマ・ワトソンですよ?そりゃ。
ただね、言語の通じないという前提で
喋るのにすら気後れしてしまう長澤まさみか、
芸人の近藤春菜かっつったら
絶対に春菜じゃん。そこは。
喋らない竹内涼真くんと、めちゃめちゃ
話題広げてくれる出川哲朗だと
哲朗じゃん。

なんだったらステラおばさんでもいい。


でさー、これホームステイの
豆知識なんだけど、
んな希望項目ないから。

何故か、

・猫がいる、いない。
・子どもがいる、いない。

っつー条件分岐しかない。

いや、猫と子どもで何が解決できる問題なんて
1つもないわ!って強く思ったんですけど、
そこは猫なし子ども有りを選んだよね。
アレルギーっていう理由と
子どもと遊んでるうちに
家族にとけ込むっつー半地下みてーな
姑息な作戦で。

幸い、日本国内ではギリギリ
価値あるドローに持ち込み
共に過ごす大学生たちと
馴染むことも出来まして、
無事アメリカへと旅立ったわけです。


生まれて初めて降り立つアメリカの地。。。
とにかく色んなもんがでかい。
初めての食事つって連れてかれた
バイキングの量が半端じゃねーつっーか
パーツがでかい。
ドンキーのキングクルールとかが食ってそうな
くそでかい肉とかある。


大学までの送迎バスの中から見る景色は
日本ではまず見られないようなスケールで。。。


そんなこんなで
現地で一通りガイダイスを受け、
講師の先生の紹介やサポートしてくれる
大学生の紹介なんかも終わり
待ちに待った運命の時。


そう、下宿先のホストファミリーが
迎えに来てくれる時間。
私たちは、1つの空き教室に集められた。



・・・ドクン・・・・・ドクン
(春菜か?哲朗か?どっちだ??)


この時点まで相手先の情報は家族構成くらい。
要するに殆どない。




・・・ドクン・・・・・ドクン。
教室の入り口に注がれる全員の視線。



「Hi-!!(ハーイ♪!)」


中年くらいの太ったハイテンションの
おばさんが入ってきた。
(あ!ステラおばさんだ。)



「Akari!」

名前が呼ばれる。女の子だ。
私ではない。


どうやら、迎えに来た順に
誰の担当かを発表する形式のようだ。



また入ってくる。


「Naomi!」


呼ばれる。また私ではない。
迎えに来た家族とハグをしている。



この形式の恐ろしいところは、
教室に入ってきた瞬間に
一目で外れっぽい雰囲気を纏った人がいても、
名前を呼ばれるまでは
自分の担当かもしれない
という恐怖と戦わねばならぬところだ。

そして、最初の男子が呼ばれた時、
私含め男たちは悟った。



まっピンクの衣装に身を包み
ぶっきらぼうに入ってきた老婆。
(あ、明らかに異質だ。。。
私がコナンくんでなくとも
真っ先に怪しんでしまう容姿。。)

さっきまで女の子を迎えに来ていた
外人たちの、あの外人特有の
ヘーイ!ハグミー!
みたいなノリがない。



脳内服部
(おい工藤、、、これはまさか、、、
女子と男子のホストファミリーに差がある
っちゅーことやないんか、、、?)

脳内コナン
(服部落ち着け!まだ1人だ。たまたまという
可能性もある。。)

脳内服部
(せやかて工藤っ、、)

注※私はこの自粛中、
Huluでコナンばっか見てました。


次々と呼ばれる仲間たち。
1人、1人と減っていく。
男たちはみな、同情のような視線で
互いを見送っている。



・・・・ドクン・・・・・・ドクン
(そろそろ私の番かもしれない。。)
注※あなたの番ですも見てました。はい。





「Hello!」




・・・:


・・・・・



・・・・・ヴィン・ディーゼルやん。。。



・・・・ワイルドスピードで主役の
ヴィン・ディーゼルですやん。。

ウィキペディア参照
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%BC%E3%83%AB


そこには、グラサンをかけ、腕の筋肉で
あり得ないほどパツパツなTシャツを着た
スキンヘッドのおじさんがいた。


賢明な読者諸君であれば
もうお分かりであろう。



「bukkiee!!!!」



※注 思ったより長くなったので続きます。